1985年6月21日:BOØWY – BOØWY(3rd ALBUM)
37年前の今日リリース。いや、厳密には「37年前の一昨日」なんだけども。
ということで、旧ブログから引っ張ってきます。
ぼくは、ある意味このアルバムが「BOØWYの第一章的なアルバム」だと思っている。そういう意味でも、このアルバムは名盤だと思う。あまり好きではないけど。
01.Dreamin’
02.黒のラプソディー
03.Baby Action
04.唇にジェラシー
05.ホンキー・トンキー・クレイジー
06.BAD FEELING
07.CHU-RU-LU
08.DANCE CRAZE
09.ハイウェイに乗る前に
10.CLOUDY HEART
あ
01.Dreamin’
今となっては、ラストソングのイメージが強いですけど、実は1曲目なんですよね。
しかもそれに伴って、ライブ音源の方を多く聞いているからか、こっちのスタジオ録音されたほうのDreamin’はブラスの音も入ってて無駄にゴージャス感が出てしまっていて、なんか違和感を感じるんですよねえ。
まあ、要するにあんま好きじゃないってことなんですけどもw
02.黒のラプソディー
この動画は氷室京介の公式チャンネルからUPされているようなので、かなり後に再録されたものっぽいですね。
でも、当時の空気感をそのままパッケージしている感があって、いい意味で当時の音源とあまり違いが無いのがすごいですね。
なんかこの、「ちょっと擦れたアバズレ感のあるスイングジャジーなシャッフルビート」ってのが、個人的には当時のBOØWYを象徴しているような気がするんですよね。
で、それがソロの氷室京介というキャラクターにも非常にマッチしているので、新し目の音源でも違和感がないと言うか。
あと何よりも、歌詞のついている部分より、一番最後のスキャットの部分が一番氷室さんらしさが出ているようにも思えて、そこが一番好きな部分ですね。
03.Baby Action
この曲は、このアルバムがリリースされる少し前の82年辺りから既に存在していいたようで、ライブでも演奏されていたみたいですね。
その時の音源だと、Aメロでもファストビートでドライブしている。
驚いたのが、サビのメロがぜんぜん違うところで、当時のジャパニーズアングラパンク感がありますよね。具体的に言うと、ラフィン・ノーズとかウィラードみたいな。
こっちのバージョンのコメント欄では「こっちのほうがかっこいい」って声が多いけど、ぼくは普通にメジャー版のほうがいいと思いますw
04.唇にジェラシー
なんかこの曲は前年からあったようなんですけど、ライブではあまり演奏されなかったようで。
この曲も先述の「黒のラプソディー」や後述する「CHU-RU-LU」同様、氷室さん作曲なんですけど、やはり同じ雰囲気がありますよね。
なんかこの当時の氷室さんは、男女の擦れた感情や関係性について歌ったような曲が多いイメージですね。
メランコリックというよりはアイロニカルで、ワンナイトで終わる儚い情事に対するニヒリズムとかそういうの。
で、それが当時の氷室さんの不良っぽさと非常によくマッチしていたので、そういう曲書かせると右に出る者はいない感、半端なかったですね。
05.ホンキー・トンキー・クレイジー
定番曲ではあるんですけど、実は何気にこの曲がBOØWYにとっての初シングル曲なんですよねー。意外。
しかしBOØWYって、この手のモータウン系シャッフルビートがすごく好きですよね。特に氷室さんがこーゆーポップなの好きなんだと思う。
この曲は何と言っても、Aメロの歌詞の「曇るガラス おれの名前指で書いてすぐに消した」っていうトレンディドラマ感のある心理描写が秀逸で、それを氷室さんがあの声で歌ってるっていうのが、当時は最高にかっこよかったんだと思うんですよね。
因みにこの曲は、作詞・作曲が珍しく個人名義ではなくバンド名義になっているけど、実際はいつもどおり氷室さんと布袋さんによって作られているみたいですね。
06.BAD FEELING
言わずとしれた代表曲。思うに、なんかBOØWYってバンドのイメージって、B・BLUEとかMARIONETTEもそうなんだけど、「バンド自体の概念的なもの」って、なんかこういう曲の方なのかなという気もする。
で、この曲って実は結構いろんなバージョンがあって、後にシングルカットされるものもそれはそれで異なるアレンジと言うかミックスになっていたりするかと思えば、ライブでは割とビートをガラッと変えて演奏していたりするんですよね。
ライブバージョンでは、ドラムのビートアプローチが音源とは異なり、タムでビートキープをしてジャングルビート感を出してるし、松井さんのベースも音源ではキックに合わせているだけだったのが、割としっかり8分を刻んでいたりしてる。
あとは何と言っても、ギターのカッティングを用いた特徴的なリフですよね。
このリフでは、全てのギタリストにとっての壁とも言われる「Fコード」を使っているんですけど、後に布袋さん自身が語っているように、通常であればFは、人差し指でセーハ(6弦全てをまとめて押さえる。バレーコードとも言う)しながら他の指でコードを押さえる。
しかし布袋さんの場合、人差し指でのセーハではなく「シェイクハンドで握り込んで」押さえてるんですよね。
これは「ギターを低く構えたいから」というのがその理由で、従来のFの押さえ方の場合、手首をかなり内側まで丸め込まなければならず、その上であのアグレッシブなカッティングリフを弾くのは不可能だからと言うことらしい。
布袋さんのリフって非常に特徴的なものが多く、従来的な発想ではまず思いつかないようなフレーズが非常に多いことでも知られている。
けど、こうした「型にはまらないオリジナルなやり方」というのが、そうしたフレーズを生み出す要因と考えると、非常に納得感のある話ですね。
07.CHU-RU-LU
これも「黒のラプソディー」や「唇にジェラシー」同様、氷室さんの作詞・作曲ナンバーで、おそらくここに収録されている楽曲の中では最も古いと思われる曲。
というのも、BOØWY結成当初、メンバーがまだ6人だった頃からある曲で、前身バンドの「デスペナルティ」から一緒だった「諸星アツシ」さんと一緒に作った曲なんだそうな。
08.DANCE CRAZE
※BOØWYのDANCE CRAZEの動画が消されており、どんなに探してもDEMO音源かカバー動画くらいしかなく、あとまともなのはこのほていさんのライブ音源しかなかったので、これでご勘弁。
BOØWY名義で音源化されている楽曲の中で、唯一の「布袋ヴォーカル」の曲。
布袋さん自身が歌うことを前提にした曲だからということか、BOØWYではありえないようなアレンジと言うか、1st ALBUM「MORAL+3」に収録されている「Let’s Think」同様、かなり実験的なことをされているという風にも伺える。(とはいえ、氷室さんが歌ってるDEMO音源もある)
と、同時にこの頃から既に「ギタリズム」の片鱗が垣間見えていて、実際布袋さんはソロになってギタリズムのツアーでもこの曲を歌っていて、全く違和感がなかった。
というか、寧ろ良くも悪くも「BOØWY感が希薄な曲」だとも思う。
09.ハイウェイに乗る前に
これも代表曲中の代表曲。何なら氷室さん、引退直前まで歌ってましたしね。
でもいい曲なんだけど、ずっとAメロの流れというかコード進行というか構成が変というか、トリッキーだなと思ってた。あと、Bメロも2部構成みたいになってて、何気にメロが忙しい曲ですよね。
でも、それでありながら全体的な雰囲気はポップで、こんな変な曲なのに長きに渡って愛されるってすごいですよね。
だから、変な曲でも難しい曲でも「それじゃ売れないから」なんて言って、リテラシーが低い人向けに簡易化して作っちゃだめなのよ。てか、音楽だけじゃなく全てのエンタメに言える話なんだけど。
何なら、人は難解なものを有難がる性質もあるんだから、もっと難しくしていいと思う。
本当に面白いものを作りたいなら、ついてこれないバカやリテラの低い頭の悪い人間は放っておくべき。
すごく乱暴なこと言ってるように聞こえるかもしれないけど、そうじゃないとどんな作品もレベルが下がるだけだし、受け手側が成長しないから。
10.CLOUDY HEART
これも氷室さんのソロで昇華された代表曲ですね。ぼくもこの曲は大好き。
後にシングルカットされて、そこでミックスもアレンジも変更されているので、こっちのアルバムバージョンってちょっと埋もれちゃってますよね。
まあ、正直ぼくもシングルバージョンのほうが好きだし、これもDreamin’同様、ライブの定番曲ということもあって、ライブ音源のほうが馴染みがあるってのもありますね。
この曲は氷室さんの実体験を元に作られたブロークンラブソングで、サビのコード進行のクリシェ進行が正に、ショパンの最高傑作と言われる「別れの曲」とも重なり、元カノに思いを馳せるデリケートな心の機微を表していると思う。
そしてこの曲は何といっても、氷室さんのソロライブ「HIGHER THAN HEAVEN TOUR」で泣きながら歌っていたのが印象的ですよね。
氷室さんはこの数年前からロスに移住していて、アルバムの制作や日本でのライブを頻繁に行えなくなり、ファンを何年も待たせている状態だった。
普通ならそこで離れていくファンも多いであろうに、何年もライブを心待ちにしてくれていたファンの暖かさに触れ、年令を重ねたこの時にこの曲を歌ったことで、そうした切なさやら優しさやら暖かさが色々綯い交ぜになって染みたんでしょうね。
結果、この時のCLOUDY HEARTが、自身にとっての最高到達点と考え、「この瞬間を超えることはないだろう」ということで、この日を以てライブでの演奏が封印されたらしい。※氷室さんのLAST GIGSでは演奏されている?
まとめ
1st、2ndが全く鳴かず飛ばずで、レコード会社を移籍して起死回生を図った1枚ということで、バンド名をそのままタイトルにしているとのことだったのだけど、正にある意味でBOØWYの「本当の1stアルバム感」があるなという気がしている。
所謂、一般的によく知られているBOØWYの原型というか、最初の型がここで作られて、次作「Just A Hero」で更に発展を遂げ、「BEAT EMOTION」で完成したみたいな。そうした理由からも代表曲が多く収録されているアルバムともなっている。
正直BOØWYのスタジオレコーディングされたアルバムってあまり好きじゃないので、このアルバムもそこまで好きなアルバムではないけど、BOØWYの歴史を物語る上では欠かせない名盤なのは間違いないと思う。