エルピス -希望、あるいは災い
評価
めちゃくちゃ面白かった。
あらすじ
12年前に発生した連続殺人事件が冤罪である可能性を見出した新人ディレクターが、落ち目の女子アナや様々な人間を巻き込みながらその裏に潜む巨悪に挑んでいく社会派ミステリ。
感想
絵面の明るさ・華やかさはいかにもフジテレビといった感じだが、扱っているテーマは「冤罪」であり、その裏側にある部分を覗いていく作品なので、テーマとしては見た目とは裏腹に大分重め。
このあたりは流石カンテレといったところで非常に納得感があるし、本が原作なのかと言うくらい重厚で骨太なシナリオだと思った。
何よりそのディテール(TV業界や警察らのリアリティ)に説得力を持たせるために、ご都合主義や泣き展開に逃げることなく、しっかり問題に向き合っている感があって、最後まで楽しめた。
また、それらのシナリオを支えるバイプレーヤーの方たちが秀逸で、中でも「大人計画」の面々が非常に良かった。
特に村井役の「岡部たかし」さんが非常にいい味を出しているよなあと思ったが、でもこの方は大人計画の人ではなかったと知って逆にびっくりした。個人的なイメージではめちゃくちゃ「大人計画の人っぽい」というか「大人計画顔」だと思っていたので。
また、「首都新聞」政治部の記者である佐々岡真由美役の「池津祥子」さん(大人計画)は、かつて「池袋ウエストゲートパーク」にて、窪塚洋介演じるキングの彼女役「ジェシー」を演じていた人で、すっかりおばさんではあるけど、すごく味のあるいいキャラだった。
あと、面白いのは、「あらすじ」の項目では「12年前に発生した連続殺人事件が冤罪である可能性を見出した新人ディレクターが」って書いたけど、厳密に言うとそうじゃない。
厳密には、主人公たちの深夜バラエティ番組の「ヘアメイクスタッフ」の女の子(演・三浦透子)が、新人ディレクター(演・眞栄田郷敦)を利用して調べさせ、更にそれが「落ち目の女子アナ(演・長澤まさみ)」に運ばれていくという流れ。
この流れで、何故か話を持ちかけた張本人が主人公ではなく、「巻き込まれている側の二人」になっているというところが面白い。
久々にフジテレビで見ごたえのある良いドラマが見れた。