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hide TRIBUTE SPIRITS

発売日:1999年5月1日

22年前の今日リリース。

この作品がリリースされる前年1998/05/02にhideが急逝し、その一周忌に当たるこの日に、この作品がリリースされた。

集まっているメンツの顔ぶれたるやそうそうたるものなんだけど、そこを差し引いても、単純に音楽作品として名盤だと思う。

このアルバムは「トリビュートアルバムとしては唯一のミリオンセラー作品であり、史上最も売れた作品」としてギネスブックにも申請されたわけだけど、これはhideのプロップスによるものだけではないということが一聴してわかる「説得力の高い作品」ということを裏付けていると思う。

 TRACK LIST


  1. Introduction - YOSHIKI
  2. ROCKET DIVE - 布袋寅泰
  3. Beauty & Stupid - 清春、SHOJI
  4. TELL ME - kyo&TETSU
  5. ピンク スパイダー - SIAM SHADE
  6. LEMONed I Scream - shame
  7. ピンク スパイダー - コーネリアス
  8. FLAME - ZEPPET STORE
  9. SCANNER - LUNA SEA
  10. DOUBT’99 - BUCK-TICK
  11. ever free - TRANSTIC NERVE
  12. 限界破裂 - OBLIVION DUST
  13. MISERY - GLAY
  14. CELEBRATION - I.N.A,PATA,heath featuring hide
  15. GOOD-BYE - YOSHIKI
全15曲14組のアーティストによるトリビュートってことで、今にしてみると顔ぶれがかなり豪華ですよね。

元アーティストの特性上、やはり周辺のバンドやミュージシャンで固められているところではあるものの、「清春さん」や「SIAM SHADE」等、直接面識はなくともV系界隈で知られた存在が参加しているというのは、それはそれで意義深いことじゃないかとも思う。

ということで数が多いけど全曲レビューやるぞ!

 1. Introduction(YOSHIKI)



「Introduction」と言うタイトルではあるけど、弾いている曲自体はhideのソロデビュー曲である「EYES LOVE YOU」のサビ部分。

文字通り、アルバムのIntroductionとなるため、サビワンフレーズ分の非常にシンプルな構成。けど、YOSHIKIが弾くと、hideの曲でもYOSHIKIの曲に聞こえちゃうってのがすごいなと思う。しかも、変わったアレンジなんか一切してないのに。

なんだかんだ、YOSHIKIってピアニストとしてすごい人なんだなと改めて思い知らされる

 2. ROCKET DIVE(布袋寅泰)




実質的な1曲目。

布袋さんの声が聞こえた瞬間、違和感の無さどころか安心・安定感すら感じるほどにこの曲をモノにしているのがスゴい。

前曲のYOSHIKIさん同様、めちゃくちゃ壊すほどのアレンジをしているわけでもなく、寧ろ原曲を割と忠実に守っているのにも関わらず「布袋の曲」と思わせる説得力は本当にすごいと思う。

まあ、一節によるとそもそもhideはこの曲を作る際に、布袋さんを意識して作った的なことを言っていたそうなので、そうしたところも影響あるのかもしれませんね。

でも要所要所で原曲にはないアレンジも加えていて、例えば、本家のギターソロの前に布袋さんのオリジナルのギターソロも入っていて、これも全く違和感がないし、そこから本家のギターソロへの繋がり方も見事。

更には、確か歌詞カードには載ってない部分として「Hello, hide...Can you hear me? It's me」という部分だったり。

転調後の2回めのサビ後で「さらば赤い髪のエイリアン / 君の作ったロケットに愛を込めてアディオス」というところで、布袋さんからhideへのメッセージが送られているところがなんともニクイ。

 3. Beauty & Stupid(清春、SHOJI)




これ実は元曲あまり聞いたことないんだけど、やはりこれも全く違和感がないですね。

それこそ、「FAKE STAR~DRUG TREATMENTの頃の黒夢感」にピッタリ合致するので、この曲を清春さんがやることに、何の違和感もない。

この当時の清春さんの持つ毒性と、hideさんの持つ毒性のシンクロ率が見事に高い、そんな曲だと思う。なので、これはアレンジどうこうって言うよりまず、「選曲がお見事」って感じですね。

 4. TELL ME(kyo&TETSU)




現D'ERLANGERのVo.とDsの二人によるTELL MEなんですけど、この二人はそもそも、HIDEがX加入前にやっていたバンド「横須賀SABER TIGER」の最後期のメンバー。

個人的にはhideのソロ曲の中でもBEST5に入るくらい好きな曲を、これまで好きなヴォーカリストと好きなドラマーで演奏してくれてるってことで、めちゃくちゃアガる曲。

しかもギターは元THE MAD CAPSUKE MARKET'Sの「石垣愛」で、ベースは、この曲でヴォーカルを取っているKYOさんと一緒に「DIE IN CRIES」と言うバンドをやっていた「TAKASHIさん」こと「金内孝史さん」ってのもすごい。

また、そもそもこの曲の製作時hideは、「TETSUに叩いてほしかった」と言っていたらしい事もあって、やはり布袋さんのROCKET DIVE同様、TETSUさんのドラミングに何の違和感もないどころかものすごくしっくりきてる感があるんですよね。

あと、KYOさんのギターソロ中での「WOO!WOH!YEAH!」のシャウトがめっちゃかっこいい。


 5. ピンク スパイダー(SIAM SHADE)




このアルバムの中で一番許せないカバーがこれ。なにこれ。マジで最悪なんですけど。

因みにぼくにとってSIAM SHADEは、ぼくの音楽人生の中でも、かなり上位に入るくらい好きなバンドだ。それだけに、このカバーはちょっとありえない。

何がダメって、そもそもSIAMにピンクスパイダーが合わないってのもそうなんだけど、それを差し引いてもそのカバーの仕方が何のヒネリもなさすぎて、全然面白くない。「SIAM SHADEらしさ」みたいなものが全然出てない。

「それ、別にSIAMじゃなくて良くない?」って言ってしまいたくなるくらい、クッソ面白くないアレンジ。まじで、「SIAM SHADEがピンクスパイダーを演奏してみた」ってだけ。

そう。これはいうなれば「カバー」ではなく「ただのコピー」でしか無いのだ。

何度も書いているかもしれないけど、トリビュート(カバー)の意義って、ぼくは「壊すこと」だと思っていて、畑違いのバンドが本家をリスペクトをしているのならば、思いっきり壊して「そのバンドの曲にしてしまうこと」というのが、最大のリスペクトのはずだ。

にもかかわらず、ここでは壊すどころか、ほぼ原曲の譜面通りに演奏しているだけだったりする。強いて言えば、イントロのギターのワウの噛ませ方がちょっと異なるくらい。

日本屈指の技巧派バンドが何をコピバンみたいなことやってんだって話。プロとして恥を知るべきだ。なのでこの曲は基本飛ばす。

リスペクトのつもりでそうしているんだとすると勘違いも甚だしいし、お仕事だと思ってるなら最初から引き受けるなって話。

SIAM SHADEと言うバンドが死ぬほど好きなだけに、憤りしか感じない。

 6. LEMONed I Scream(shame)




この曲については元曲もあまり良く知らないし、これをカバーしているバンドのこともよく知らない。

けど、元曲を探して聞いてみたら、元々割とポップだった曲を、更にアンプラグドというか、フォーキーな感じで演奏しているようですね。

少なくともSIAM SHADEのなんのヒネリもないカバーの100倍はマシですね。

 7. ピンク スパイダー(コーネリアス)




この曲は元々、月刊カドカワかなんかの対談で一緒になった縁でコーネリアスの作品にhideがリミックスで参加したお返し的な経緯で、このアルバムに参加したんだと思うけど、このアルバムの中で唯一のリミックス作品ってこともあって、当然のことながら元曲の面影はあまり感じられない。

でもこういうことなんだよ、トリビュートって。

コーネリアス(元フリッパーズ・ギターの小山田圭吾)という全くの畑違いの人が、hideのトリビュートをやるというのであれば、こういう風に「自分の色を出す」というのが正解。

これは本当にめちゃくちゃかっこいいリミックスだと思う。

 8. FLAME(ZEPPET STORE)




ZEPPET STOREと言うバンド自体、hideが見つけてきたバンドだけど、この曲はそんなZEPPET STOREに触発されて、既存曲の「MISERY」を再構築してできたのがこの曲ということらしい。

そんな曲を、それこそhide自身が見つけてきて影響を受けたそのバンドにカバーしてもらうだなんて、天国のhideはきっと幸せだろうに違いないと思う。

楽曲そのものの話としては、歌メロは「MISERY」と同一だけど、歌詞と曲のテンポやアレンジが異なる。

いわばワンオクにおける「アンサイズニア」と「アンサイズクリア」、氷室における「RHAPSODY IN BLUE」と「RHAPSODY IN RED」、Do As Infnityにおける「DESIRE」と「CARNAVAL」的な感じですね。

しかし、元々がZEPPET STOREを意識して再構築しただけあって、やはりこのカバーにもまったく違和感はないですね。

ZEPPET SOTOREは元々、かなり洋楽志向の強いUK系のオルタナティブロック的なジャンルだったと思うんだけど、シングル「ROSE」とかではめちゃくちゃ優しいアコースティックな一面も見せてくれたりしている。

この曲は、そうしたZEPPETの「優しい部分」が全面に出ている非常に良いアレンジだと思う。

タイトルの「FLAME」とは「炎」と言う意味だが、燃え盛る炎と言うよりは、ろうそくや暖炉のような、「人を暖かくするための優しい灯」のようなイメージで、それがVo. 木村世治さんの温かみのある声に非常によくあっている。

 9. SCANNER(LUNA SEA)




この曲は元々かなりBPM早めのアッパーチューンだったけど、かなりヘヴィなアレンジを施している。

SIAM SHADEのところで「リスペクトしているなら壊すべきだ」とは言ったが、正直最初このアレンジ好きになれなかったw

とは言え、当時のLUNA SEAはどこか「悟りを開いた感」があったので、好きじゃないアレンジだけど、納得感と説得力は感じてもいたんですよね。

で、この曲をやるに至った経緯としては、元々hideのシングル「TELL ME」のカップリングで、RYUICHIとhideが「愛のデュエットVer.」みたいな感じでこの曲を収録していたことがキッカケだと思う。

当時のLUNA SEAはまだデビュー間もない頃で、その界隈のV系好き以外にはほとんど名前が知られていない段階での起用に、少なくともぼくは非常に驚いた。

その当時「LUNA SEA」と言うバンド名だけは聞いたことあったけど、音源やライブには触れたことがなくて、おそらくこれが最初だった可能性すらある。

 10. DOUBT’99(BUCK-TICK)




これも非常にBUCK TICKらしい選曲とアレンジですね。

しかもアレンジの方向性としては、彼らのセルフカバーアルバムである「殺シノ調べ」における「ICONOCLASM」や「MAD」のようでもあるし、オリジナルアルバム「COSMOS」における「MARIA」にも通ずる気もする。

とは言え、このアレンジの仕方については、BUCK-TICKの中でもかなりヘヴィ目なアレンジだと思う。

サビ部分での「DOUBT!DOUBT!DOUBT YOU!肉を斬らせて骨も断たれた」とか「木っ端微塵のカオスを喉に詰め込め」っていうワード自体はhideのものだけど、いかにもBUCK-TICKの歌詞にもありそうで、これもやはりかなりシンクロ率の高い曲だと思う。

 11. ever free(TRANSTIC NERVE)




このバンド「TRANSTIC NERVE」も、hideによって発掘されたバンドですね。

※後に「THE UNDERNEATH⇒現defspiral」となる。

この曲についてはそこまで大幅なアレンジはされておらず、かなり原曲に近い物となっているのだけど、とはいえ、SIAM SHADEみたいに、馬鹿の一つ覚え的に完コピしているのではない。

布袋さん・清春さん・KYO & TETSUさん・後述するGLAYのように、ちゃんとそのバンドの個性が出ているので、悪くはない。

ただ、惜しむらくは、「もうちょいいじっても良かったのでは?感」があるけど、とは言え、この曲自体が大分完成されてしまっている曲だけに、これ以上いじりようがないっていう部分もあったのかもしれない。

これを大幅に変えようと思ったら、違うジャンルの人によって、BPMを変えるなどして違うジャンルの曲にする必要があっただろうから。極論言うと、レゲエとかR&BとかHIPHOP調にするとか。

そういう意味では、結構頑張ったほうじゃないかなと。少なくともSIAM SHADEの100倍はマシ。

 12. 限界破裂(OBLIVION DUST)




これの元曲は割とアッパーポップでありながら、hide特有のクセの強い曲で、例えるなら「毒入りロリポップキャンディ」みたいな曲だったと思うんだけど、LUNA SEAのSCANNER同様、ガラッと雰囲気を変えてきましたね。

あまりにも禍々しくて重々しい雰囲気に最初は大丈夫か?って思ったんですけど、サビでのシャウト気味なうたい方は、なんだかんだKENさんに合ってる気はしますね。

でも、折角OBLIVION DUSTがカバーするなら、もうちょっとPOPでも良かったんじゃないかなあという気が個人的にはしますけどね。

OBLIVION DUSTもどちらかと言うと、ポップパンク的に「明るくて毒のあるロックというのが持ち味だと思うので。

このアレンジの仕方だと、どちらかと言うとBUCK-TICK向きな気も。

 13.MISERY(GLAY)




ぼく、実はGLAYってそんなに好きじゃないんですけど、これは流石と言わざるを得ないですね。

これも、布袋さん・清春さんら同様、元曲を大幅にいじっていないと言うか、かなり忠実だったりもするのに、ちゃんとGLAYの曲になってるのがすごい。

「大幅なアレンジ無しで自分の曲にしている感」ってことで言ったら、このアルバムの中で一番それを体現していると思う。

ほていさんや清春さんは「元曲の雰囲気を維持しつつ、自分のフィールドに寄せている」と言う意味で成功している。

それに対し、GLAYのこのカバーについては「原曲通りにやってるだけなのに、どう頑張ってもGLAYの色が出ちゃってる」って感じで、もう完全にGLAYのものにしてしまっているところがすごい。

GLAYのアルバム「BEAT OUT」に収録されていても違和感を感じないと思う。


 14. CELEBRATION(I.N.A,PATA,heath featuring hide)




このトリビュートアルバムの中で、唯一の「生前の本人による音源」で、元曲自体もソロ曲ではなく、「X」のメジャーデビューアルバム「BLUE BLOOD」に収録されている曲を、ソロ用にアレンジしたもの。

BLUE BLOODバージョンは、Hanoi Rocksなんかに影響を受けたHIDEらしい、所謂LAメタル?的なロックンロール寄りの、メタルと言うよりは「ハードロック」や「グラムロック」な楽曲だった。

けど、こちらのセルフカバーではテンポも下げてファンク的なアプローチで、よりパーティーソング的な色合いが強くなっている。

が、やはりBLUE BLOODが好きすぎるせいで、ぼくは正直そんなに好きじゃない。


 15. GOOD-BYE(YOSHIKI)




1曲目のIntroduction同様、YOSHIKIのピアノ主体のインストによって締められている。ただ、こちらは1曲目のピアノ1本登は異なり、ストリングスが入っているオーケストラアレンジとなっている。

これによって大幅なアレンジが加えられていることもあって、やはりYOSHIKIの曲と言う感じになっているところがすごい。

と同時に、曲のタイトルとその美しい旋律に、否応なしにhideとの別れを痛感させられる物となっており、涙を誘う。

 まとめ


冒頭でも書いたように、やはり錚々たる顔ぶれということもそうなんだけど、元ネタがhideということから、そこに関わるメンツが何かしらの形で音楽的に繋がりがあり、その上でその範囲が多岐にわたるもんだから、そもそもが「音楽作品として非常に優れている」というのが、この作品の最大の特徴と言えると思う。

加えて「急逝したアーティストの一周忌」というまだその記憶と傷口が生々しい日にリリースされていることも手伝って、結果的にトリビュートアルバムというジャンルとしては、世界で最も売れたアルバムとなった。

ぼく自身、バンド始めたての頃の触れたアルバムということもあって、何回聞いたかわからない。これは、ぼくの人生史上にも強く記憶に残る名盤のうちの1つだと思う。

hide TRIBUTE SPIRITS
hide
ポニーキャニオン
1999-05-01