暴力団 (新潮新書)
溝口 敦
新潮社
2011-09-16



再読。面白かった。

ものすごいどストレートでシンプルなタイトル故に、電車内でカバー無しで読むのはちょっと気がひけるところではあるんだけど、お構いなしに読んでた。

とはいえ、この本は「現代のヤクザそのもの」のことについて知るには非常にいいと思う。

初版が2011年のものなので、賞味期限が切れていると思われるかもしれないが、この本はあくまで「2011年時点でのヤクザ業界のこと」について書かれているだけなので、「ヤクザそのものについて」という意味では、書かれている内容の鮮度については気にしなくていいと思う。

とは言え、山口組分裂以前のものなので、当然のことながらその点については触れられていない。

というより、特定の組のエピソードや抗争のことについては然程触れられてはおらず、先述のように、「ヤクザそのもの」を知識として知るための本になっている。

具体的な内容については、以下の通り。

第1章:暴力団とは何か?
第2章:どのように稼いでいるか?
第3章:人間関係はどうなっているか?
第4章:海外マフィアとどちらが怖いか?
第5章:警察とのつながりとは?
第6章:代替勢力「半グレ集団」とは?
第7章:出会ったらどうしたらよいか?
あとがき

「第1章:暴力団とは何か?」と「第2章:どのように稼いでいるか?」については、過去に山口組の顧問弁護士を40年間努めていた「山之内幸夫」さんの書籍にてある程度は知識を得ている部分もあるので、これについては関連過去ログも合わせて参照いただくのが良いかと。

※関連過去ログ
http://blogrider.tokyo/archives/13814048.html

とりあえず共通して書かれているのは、「今のヤクザはお金が無くてジリ貧である」という点について。

とはいえ、本書では割と昔から「堅気の仕事をしながらヤクザをやっている」という人もいたとのことで、典型例で言うと「ガテン系」とかだと思うけど、「タクシーの運転手」にもその割合は結構多かったらしい。

そういえば昔、東京の小平(西武国分寺線と拝島線の「小川駅」の周辺)に住んでいたんだけど、ここの駅のロータリーで客待ちしているタクシーの運転手さんたちが、おしなべてやたらガラが悪くておっかねーなと思っていたのを思い出した。

「なんでタクシーの運転手って、みんなあんなヤクザみたいな風貌なんだろう」と友達とよく話していたものだが、今思えばあれは「ヤクザみたい」ではなく「ヤクザそのもの」だったんだと思う。

ヤクザってお金持っているイメージがあるけど、社会的には「無職」と同じ扱いで、お金持っているヤクザは「風俗店の経営(あるいはみかじめ料)」とか、「飲食店の経営」とか「違法カジノやシャブ取引」を「シノギ」にして生計を立てている。

でもみんながみんなそれをすぐにできるわけではないので、食っていけるだけのシノギが確立できていないヤクザは、堅気の世界で普通に仕事しながら組に所属しているということだ。

あと、個人的に面白かったのは「第4章」と「あとがき」ですね。

例えば、第4章では、「日本のヤクザ」と「海外のマフィア等の違い」についてわかりやすく解説されており、「事務所構えて看板出して、警察にも顔と名前が知られていて公然と犯罪行為に勤しむ」という日本の「ヤクザ」がいかに特殊であるかを知ることが出来る。

日本人として日本の文化しか知らないで育っているから「まあそんなもんなんだろうな」くらいにしか思ってなかったけど、確かに冷静に考えれば実におかしな存在ですよね、ヤクザって。

なので「反社会的勢力」とか言われているが「半社会的存在」でもある。

あとは、「あとがき」にて、ヤクザ系ライターである著者が、山口組の人間から「初版の印税分くらいはやるから本は出さないでほしい」とお願いされていたものの、ノンフィクションライターとしてそれは出来ないと答えた所、刺されたという話が、非常にリアルだった。

やっぱりこの手のライターさんはそういう危ない目に遭うんですね。

何れにせよ、「ヤクザ」というものがどういうものかを知る入門書としては、非常にわかりやすい1冊なので、興味のある方にはおすすめです。

暴力団 (新潮新書)
溝口 敦
新潮社
2011-09-16




 
 

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