面白かった。

前回のレビューにて、同じ人の書いた「成城石井はなぜ安くないのに選ばれるのか?」というのを紹介したわけなんだけど、これはその第2弾的な内容。

※関連過去ログ
 成城石井はなぜ安くないのに選ばれるのか? - 上阪徹

実際経緯としても、成城石井を買収したローソンという企業に興味を持ったことに加え、ここ数年でのコンビニの進化に驚愕したということで、更に興味が深まったことを理由として挙げている。

個人的には、それこそ20年近くもコンビニ業界に従事していて、今でもぼくのライフスタイルに欠かせないものであり、ヘヴィーユーザーであるが故、ぼくにとってはその変貌ぶりは、逆に実感として得にくいところではある。

だが、10年以上利用していない人からしたら、確かに「最近のコンビニやべえw」となるだろうなとも思う。

なので、もちろんこの本だけでも十分楽しめるが、成城石井の方と併せて読むことで、より楽しめる気がすると、ぼく個人は思っている。

以下、いつものように続きを読むより、気になるポイントをピックアップしましたので、お暇な方や興味のある方はどうぞ。

作り手の「ストーリー」を届けたいという考え方

 最初から儲けありきではなくて、生産者の顔を、彼らの喜ぶ顔を思い浮かべながら商売をする。それが結果として儲けにつながる。そういう一端を担える可能性が、ローソンにあるのではないかと思っています。

この部分については、成城石井と全く同じマインドだったところに驚いた。「ストーリーも含めて売る(そこに本当の価値を見出している)」というところ。

やはり、ヒット商品とか「モノが売れる理由・その店が選ばれる理由」というところの要因って、科学的なもの以前の、こうした目に見えない「情熱」という部分なんだということを改めて学んだ気がする。

これについては、以前レビューしたプロゲーマーのときど氏の「東大卒プロゲーマー - ときど・著」でも同様のことを言っている。

 ロジックや合理性は、情熱があってこそ生きるもの。情熱なしにそれらを振り回したところで、何も生み出すことは出来ないのだ。

※関連過去ログ
 東大卒プロゲーマー - ときど

「知らず知らずのうちに配慮されているんだな、という状況を作りたい」

ぼく自身、家のすぐ目の前にローソンが出来て以来ローソンのヘヴィーユーザーとなったことに加え、特にここ最近減量生活をしていることで「ローソンってやけに健康志向じゃないか?」ということを感じていたんだけど、正にその状況にハマっていた。

ローソンで扱っている食品って、基本的に他のコンビニに比べると健康志向が高く感じられるのである。

特に、カロリー表示や一連の栄養素に関する表示が、割とわかりやすい形で明確にされていることが多くて、ぼくみたいに、いま減量に取り組んでいる人にとっては、非常にありがたかったりする。

でもローソンは「それを全面に押し出して売りにしていない」んですよね。これ、個人的にも結構気になってたんだけど、やっぱりそういう隠れたこだわりがあったんですね。


売れてなくても「リピート率」が高かった!データで『ブランパン』をヒット商品に

この「リピート率」ってホント大事。

ぼく自身も長くコンビニ業務に従事し発注に携わっていたからこそわかるんだけど、特定商品を定期的に購入する人が「最低でも3人」いるなら、その商品は切らしちゃいけないし発注も絶対に止めるなとオーナーに教わった。これ、ほんとそのとおりだと思う。

大した個数(或いは人数)売れないから取扱を止めてしまおうなんていうのは、かなり痛いチャンスロス(機会損失)だということを気づけないようでは、コンビニ経営者としては失格だと思う。

何故ならば「特定商品をリピートする人=常連さん」だからだ。その人からその特定商品を取り上げたら、その人の来店理由がなくなる。つまり、この人は「もう二度と来ない客」なのだ。

そういう人が1人だけとかならまだわかるが、3人以上だと結構痛い。なぜなら概ねどの店舗も、「売上の大半は常連客によって支えられているもの」だからだ。

※全社的(ローソン全体的)な視点で見ると「ヘヴィーユーザーの存在が34%いて、その34%の人たちが、売上の82%を支えているのだそうだ。

都会のような、人の出入りの激しい立地でもない限り、小さな町のコンビニなんてのは、そもそも新規顧客獲得が極めて難しい。

ということはその店舗が長らく経営を続けられるか否かは、「いかにして常連客を多く囲っておけるか」という点に尽きるといっても過言ではないわけだ。

データだけ見ていても何も生まれない

「優れた商品開発担当者は、実はものすごくデータを見ています。<中略>経験や勘は大事。~逆にデータだけを見ていても何も生まれません。仮説を持っている人がデータを見ることが、とても大事なんです」

これはネットビジネスをはじめ、すべてのビジネスに共通して言えることだと思う。データ(数字)っていうのはあくまで「結果だけを伝えてくれるもの」であって、「それがどういう意味を持つものなのか」を読む力がないと何の意味もない。

これは、本書のあとに読んだ「セブンイレブンに学ぶ「発注力」 - 緒方知行・著」においても力説されていることでもあるので、非常に重要な部分。(こちらの感想は、翌日UP予定)

以前、別の記事でも書いたことがあるけど、「数字は嘘はつかない」が、「人は数字に騙されてしまう」という生き物だと思う。

データが語るのは「現在に至るまでの過去の部分のみ」であって、これから何が売れるかといった「未来」は一切語ってくれない。

その本質を理解せずデータに頼っても、それは最適解になりえないということだ。

裏付けばかり気にしていたらチャレンジできなくなる

「裏付けは重要です。しかし、裏付けばかりを気にしていたら、チャレンジはできなくなる。世の中にある、ありきたりのものしか出てこなくなる。新しいものは生まれません」

これはいい言葉だと思った。というより、プロゲーマーの「ときど」氏も似たようなことを言っていて、このブログで引用して紹介したこともある。

 セオリーとは、いいかえれば「当たり前」。当たり前の努力をしているうちは、当たり前のプレイしか出来ず、当たり前の結果しか残せない。

※関連過去ログ
 東大卒プロゲーマー - ときど

先の「データだけ見ていても何も生まれない」というところと繋がる話だと思う。大事なのは「過去から学んで、未来を自分で考えながら作って挑戦していく」ということだと思う。

質を求める前に、量も必要。量が出なければ質は絶対上がらない

「例えば100のアイデアがあるとすれば、商品化に近づけるのは2つか3つだと思います。やはり質を求める前に量も必要なんですね。量が出なければ質は絶対に上がらない。だから最初から3つの中から持ってくる商品では、まずダメでしょう。大事なことは数あるアイデア。その中からチョイスされていく」

これ、ほんとそのとおりだと思う。これと同様のことを、ぼくは過去に「YOSHIKI批判」として書いたことがある。

※関連過去ログ
 タイの女児が歌う「X JAPANのSay Anything」を聞いて「100年先にも残る名曲とは何か」について考える。

上記過去ログをざっくり言うと、YOSHIKIってものすごくレコーディングに時間掛ける人なんだけど、その言い訳として「100年先にも残る名曲を書きたいから、それを目指しているとどうしても時間がかかっちゃう」というもの。

でもそれはマジでプロとしてはあるまじき「醜い言い訳」でしかなくて、名曲ってのは100だ1000だと作りまくった曲の中からしか生まれないものだということ。

まずは量が出揃わなければ1つの質は上がらないとは、正にこういうこと。


まとめ

他にも「個店主義という考え方について」とか、面白いポイントはたくさんあったけど、それは次の「セブンイレブンに学ぶ「発注力」 - 緒方知行・著」の感想で触れていこうかなと。

ひとくちに、「コンビニ=不健康」とか「コンビニ=画一的」みたいなイメージがあるかも知れないけど、そんなものは20年以上も前の話だよ、ということがよく分かると思う。

特にここ10年くらいの食品のクオリティは、ローソンだけでなく、業界全体がレベルやクオリティの底上げがされている感が大きい。

まあ、ぼくは一応この業界を少しは知っていたから、タイトルほどの面白さは正直感じることはなかった(つまらなかったという意味ではない)ので、面白さってことで言えば、前回の「成城石井」のほうが面白かった。

でも、学ぶべきとこは上記の通りいくつかあったので、コンビニをよく知らない人にはおすすめできる本だと思います。

 
 

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