めっちゃ面白かった。

ぼくは近隣業種である「コンビニ」に18年くらいどっぷり浸かっていたので、いろいろなことがわかりすぎてしまい、感情移入しながら読んでしまったので、ページ数的にもめちゃくちゃ多いわけではないし、内容も非常に面白いのに、読み終わるのに3日くらいかかってしまった。


非効率なのではなく「ただ必要なことをおこなっている」だけ

従来のスーパーマーケット経営ではありえないような常識を覆す方法論について多く書かれていて、それは大概が「一見非効率的だから誰もやらないようなこと」だったりする。

でも成城石井は「少しでもいいものを届けたい」という一心を追求した時に、「必要だからおこなった」というマインドであるために、たとえそれがどんなに効率が悪かろうとやり切るというブレない信念はすごいと思った。

その結果、創意工夫を凝らして、自分たち独自のやり方を確立し、見事に成功・成立させるあたりに、言葉だけではない強い信念に基づく行動原理を垣間見ることが出来て、素直に感動した。

目先の利益ではなく「信頼」を売っているからこそ選ばれている

これは正に西野亮廣「新世界」に通じる話だと思った。

※関連過去ログ 

小売業で、殊更「スーパーマーケット」という業務形態である以上、「安さ」というところに主眼を置いてその上で利益を追求していくのが常である。故にそのために業務においても普通は「効率化」が求められるところでもある。

しかし成城石井の場合、「とにかく安全で美味しいものを届けたい」という強いこだわりが先にあって、そこに対して合わせていくというスタイルで愚直にやってきている。

それ故に「成城石井でないとダメだ」というレベルでの信頼を勝ち取ることに成功している。

これは正に顧客からの「信頼」があったからこその結果だと思う。実際、社長の原氏は「お客様に育ててもらった」ということを述べている。

引用ポイント

●お惣菜の新商品開発におけるリリース直前の話

最終的にゴーサインを出すのは社長だという。原氏のOKが出ないと、店頭には並ばないのだ。原氏は言う。
「食べますね。これは食べないとダメだと思ってます。~誰かが最後に決めないといけない。ならば、自分が全て食べて、自分が責任を取るべきだと思ったんです。多数決なんかとっても仕方がない。成城石井の味はこれだ、というのを決める人がいないといけない。誰かがそれをやらないといけないんです」

一見するとすごい覚悟のようにも見えるけど、でもぼくが思ったのは、覚悟って言うより、原社長が成城石井を愛していて、その成城石井を愛してくれるお客さんのことも愛しているからなんだと思った。

だから原社長的には「自分のこだわりや覚悟が人一倍強いのではなく、それくらいやるのが当たり前」って思ってるんだと思う。

しかも、開発は店頭に並んだら終わり、にはしないと原氏は言う。
「店頭に並べてみて、変化を確かめます。見た目もそうですし、味もそうです。時間が経過したものを食べてみて、これはやっぱり量産すると味のイメージが変わった、と感じるものもある。そうすると、塩を足してもらったり、トッピングを変えてもらったり、ソースを多めにしてもらったり。どんどん改善していくんです。

これって正に「PDCAを回す」ってやつですよね。これを「商品開発部」とかではなく、社長自らが店舗を回ってやっているっていうのがすごいと思う。

まとめ

何より驚いたのが、こうしたスタンスと言うか経営理念って、そのままその会社の「ブランド」として普通なら語られるところだと思う。

でも、当の成城石井自体が「ブランド」という言葉で自分たちを語らないというところに、ものすごく強い美学を感じた。

否、それが美学と言うより、先述した「あたりまえのことをやる・必要だからやる」という徹底した信念があるから、自分たちで「ブランディング」なんてことはしないし、そんなものをおこなう必要が無いのだろうと思う。

本書を執筆したライターさんも、最後の方で非常にいいことを書いていらっしゃるので、最後にそれを引用したい。

 ブランドは作られるものであって、作るものではないのだ。伝統的なブランドほど、そうやってブランドを形作ってきたのではないか? 愚直に顧客と向き合って来た結果が、ブランドになったのだ。ブランドを作ろうとして、ブランドを作ったのではない。


■EDIT