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マルサの女&マルサの女2

■マルサの女■



非常に面白かった。

子供の頃にも一度見たことはあったのだけど、当然意味はわからなかったが、今見ると「脱税」ということについて、ここまでわかりやすく描いていたのかというほど、わかりやすくてびっくり。

それもそのはずで、あとで調べてみたところ伊丹監督が本当に描きたかったのは続編となる「2」の方らしく、こちらはそのための「入門編」として描いたらしい。なるほど。

例えば、ラブホテルは領収書が発生することがない、という点を突いた売上詐称や、離婚をして慰謝料を払う体で女名義の口座にお金を移したり、宝くじを使うなどと言った脱税方法などありとあらゆる手法が出てきて、それらをものすごくわかりやすく説明していた。

あと冒頭、いきなり看護婦さんがおっぱい丸出しで、ジジイに乳吸わせてるシーンから始めるところが如何にも「昭和」って感じ。このシーンを皮切りに、この映画はそうしたお色気シーン的なものが多々ある。これはこの映画に限らず、もうこの時代の映画みんなそう。この時代ってそれこそバラエティ番組でさえおっぱい出すような番組多かったしね。

あと、伊丹監督の映画って「おっさん」の描き方が上手いのかなって気がした。税務署、及び国税局の人間ばかりが出てくるってことで兎に角おっさん比率がすごくて、脱税の容疑で目をつけられている権藤役の山崎努をはじめ、国税局側の津川雅彦、大地康雄など、兎に角脂ぎったおっさんばかりがでてくるんだけど、全員リアリティがハンパない。

で、当然のことながら全員芝居巧者な方たちばかり。というか「名バイプレイヤー」が多い。しかしやはり何と言っても、特筆すべきは、その中で埋もれることのない存在感を放っている、主演の宮本信子さんでしょう。

おかっぱ頭で寝癖バサバサでそばかす顔のおばさんっていう出で立ちで、お世辞にも美人とは言えないはずなのに、でも何故かすごく魅力的に見える。誰よりもエネルギッシュなんだけど、決して「男なんかに舐められてたまるか」という気負いではなく、ただ己の正義感のみで動いているから輝いて見えるんだと思った。

そしてその快進撃が、シンプルなカタルシスで見ていて非常に痛快。あとは無駄な要素が一切ない。知的で説明もたくさんあるけどその説明の仕方が非常に旨いので、テンポが良い。知的でテンポも良くてカタルシスも得られるって、なかなか無いでしょそんな映画。
 
あと、権藤がものすごい「悪い会話」を「お主も悪よのぉ、ヒヒヒ」みたいな感じではなく、淡々と、それこそ普通のサラリーマンが普通に仕事の話をするように、事務的にビジネスの話としてしれっと話すところが妙にリアリティがあって、逆にものすごく悪人っぽさを際立たせているようにも見えたのが非常に印象的だった。
 
例えば、冒頭で看護婦さんのおっぱい吸ってた死にかけの爺さんの様子を見た帰りに「よし、じゃあ爺さん社長にして会社設立しろ」とか、愛人のおっぱい揉みながら「まーた儲かっちまいやがった…問題はどう隠すかだな」とか。


何にせよこれはなんていうか、その知的さ故、すごく小説で読みたい映画だと思った。


■マルサの女2■


こちらも非常に面白かった。

前作の1年後に公開された続編。前述の通り、本当に描きたかったのはこっちの方だということで、前作の脚本を書き終わってからすぐこっちを書き始めたらしい。

今回の相手役は、いまは亡き「三國連太郎」で、宗教法人を隠れ蓑にして脱税するというお話。

それにしてもこの映画は、ベッドシーンとかお色気シーンが本当に多い。しかもその宗教団体の教祖の愛人が確か洞口依子が演じていて、14歳だか16歳という設定で、おまけにお腹に子供まで宿すという展開には流石に驚いたし、今では考えられない表現だと思った。

「宗教団体」という部分から、信者たちが祈祷している描写なんかは大分コミカルに描かれていてようにも解釈できるし、当時だったらみんな笑ってみていたのかもしれないけど、まさかこの映画の僅か4年後くらいに、カルト教団があんな事件起こすだなんて誰も考えてなかったんだろうなあ。アレを知ったあとで見ると、やはり見え方が違ってくる。

と言うより、宗教法人をいいことに巨額の富を得ているなんてところも含めて、まるで来るべき未来を予見していたかのような内容でさえあるといったら、少々オーバーか。

更には途中、隠し部屋の存在を探り当てるものの、そのに至るまでの階段で超音波的なもので妨害する機器も登場して、向かった国税局の捜査員が、頭が割れるーとか言いながら階段転げ落ちてくるシーンとかは、いくらなんでもちょっとマンガ的すぎやしないかなとは思った。転げ落ちる前に即座に引き返すでしょうに。
 

 

あとは、国税局の倉庫に忍び込んで書類を盗み出そうとしていたチンピラと鉢合わせになった板倉亮子が、犯人を説得するシーンで、パニックに陥っているはずなのにネゴシエートが非常に上手く、わかんないけど警察官の取り調べもこういう落とし方なんじゃないかというくらい巧みに語りかけ、犯人からナイフを取り上げたシーンが印象的だった。


更には途中、不破万作演じるヤクザ「チビ政」が、利用価値がないと見做されるや射殺されたりと、前作と比べると先述したお色気要素と併せても、大分馳星周的とも言えるノワール色が色濃くなっているのが、今作の特徴だと思った。

いずれにしても、やはりこれは小説で読みたくなるような映画だと思った。それこそ馳星周で。
 

 

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